抄録
本研究では、広場と街路の構成に着目して、イタリア、スペイン旧市街の街路ネットワークを対象にネットワーク分析を行った。旧市街のネットワークデータを作成し、ネットワークの接続性指標としてコミュニティと媒介中心性を主に用いて指標値を計算し、街路ネットワークの特性を分析した。その結果、主要広場のハブ性を確認するとともに、旧市街の骨格を構成する街路の媒介性が示された。さらに、バルセロナにおける多孔質化戦略による中心市街地への広場空間の外挿が、市街地全体の媒介中心性や情報中心性を変化させ、回遊時の経路選択肢そのものに影響を与えていることを示した。