抄録
本研究は、空間把握の文化的差異を明らかにすることを目的としている。調査では、地図および経路案内文を用いた経路探索実験を行い、その結果確信度および探索アクションが観測された。今回明らかにされた点は、以下の3点である。(1)経路案内文は、北米出身の探索者の経路探索に役立つ。しかし日本人探索者にとっては、役立つ地理情報ツールとは言えない。(2)地図上の道路形状は、移動の手掛かりとして北米出身者の経路探索を不安にさせる一方で、日本人探索者の経路探索を安心しやすい傾向を持っていた。(3)空間情報を確認する場所として、北米出身者はすべての交差点であるのに対し、日本人探索者は方向転換を行なう交差点のみで確認を行なっていた。