2021 年 110 巻 12 号 p. 2607-2615
86歳,男性.非機能性副腎腫瘍として長年フォローされてきた高齢患者での無症候性褐色細胞腫(pheochromocytoma)の1例.造影CT(computed tomography)や副腎腫瘍を直接圧迫しない手術では発作誘発されなかったが,腎盂癌の手術中後腹膜腔拡張剝離バルーンでの直接圧迫により褐色細胞腫の昇圧発作が誘発された.術前に圧迫することが想定されることの有無にかかわらず,また年齢や病歴を問わず,術前に再評価することの重要性が示唆された1症例である.