都市計画論文集
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環境地域通貨とモビリティマネジメントの連携実施による低炭素社会づくりと地域活性化の可能性
神田 佑亮松村 暢彦藤原 章正
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 45.3 巻 p. 463-468

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抄録

本稿では新エネルギー整備基金の確保を目的とした環境地域通貨流通スキームの構築と併せて、市民を対象としたMMを連携して実施し、環境、まちづくり、交通行動面での効果を評価した。環境地域通貨は、市内の加盟店舗で利用可能なクーポン券であり、新エネルギー発電施設整備基金の確保と市民の割引サービス、地元商店街活性化の両立を目指している。このスキームと市民を対象に適度なクルマ利用を促すモビリティマネジメントを連携して実施した。運用開始後3ヶ月で約130冊の環境地域通貨が流通し、総額の約3割の利用があった。地域活性化の面では、大規模店舗から地域の中小店舗への来訪意図の変容や、購入した店舗とは別の店舗を訪れ利用するといった回遊効果が確認された。交通行動の変容効果の観点では、環境地域通貨を利用した買い物により、買い物時の交通手段も自動車から徒歩や自転車等に転換する意図が見られた。環境面では、MMとの連携実施によりCO2削減効果に相乗効果が見られることが確認された。これらの結果から、両立が難しいと考えられる低炭素まちづくりと地域活性化の共存可能性について1つの方向性が示された。

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© 2010 公益社団法人 日本都市計画学会
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