都市計画論文集
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メッシュデータを用いた人口減少地域における買い物距離の分析
山形県における食料品店を事例として
三浦 英俊古藤 浩
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2010 年 45.3 巻 p. 643-648

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抄録
人口減少地域では商店の淘汰が進むため、買い物に要する距離は一般に長くなる。本研究では山形県の住民の食料品店への距離に焦点を当て、1995年、2000年、2005年の国勢調査と1996年、2001年、2006年の事業所・企業統計調査のメッシュデータを使用して、食料品店への最近隣距離の変化を分析する。本研究で得られた主要な結果を述べる。(1) 人口減少とともに食料品店も減少しつつある。これは都市中心部に近い地域では買い物距離にあまり影響を与えていないが、郊外地域では2000年から2005年にかけて平均で約100m買い物距離が延びた。(2) 最寄りの食料品店への距離が2km以上となる人口は1995年から2005年までおおよそ1万人であまり変動はない。ただしこれに含まれる65歳以上人口の比率は県全体の平均よりも高く、上昇しつつある。(3) 2005年国勢調査のメッシュデータの作成方法の変化によって秘匿されるメッシュが増加し、食料品店への最近隣距離が2km以上となる65歳以上人口の推定の精度が悪化した。(4) 新しい食料品店の出店によって住民の最近隣距離を2km未満にするためには、121の新規出店が必要となる。
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© 2010 公益社団法人 日本都市計画学会
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