2011 年 46 巻 3 号 p. 469-474
21世紀に入り、1980年代後半から生まれてきた中国の特色的な低所得者地域である城中村に対する再開発事業が各地において次々と行われ始めた。本研究は現行の城中村再開発の政策・手法のモデルの解明、ケーススタディを通じて改造効果などを把握した上で、現行事業の到達点の解明に試みた。調査・分析の結果、再開発事業における制度改革(無形改造)は、形式的なものであり、名称上の変更に止まってしまい、福祉、社会保障などの実質的な問題の抜本的な解決には及ばなかった。物的再開発(有形改造)は、物的住環境の抜本的な改善を通じ、村民の生計維持・向上の問題を解決した。一方、低所得な借家人は住み続けることが困難となっており、社会的公平性や都市経済発展の鈍化等の問題をもたらす恐れがある。