2012 年 47 巻 3 号 p. 271-276
本研究では、日本泉北ニュータウンおよび韓国ソウル市でオールドタウン化が進んでいる地域を選定し、地域環境の特性と個人差を考慮した上で、居住者の食料品購買行動および買い物環境における利便性(不便さ)に関するアンケート調査を実施し、高齢者の特徴を明らかにすることを目的とする。結果として、主に利用する食料品店の種類と交通手段、利用回数および所要時間に、地域・年齢による差があり、特に地域差は、食料品店の密度により説明され、特に徒歩で移動するといった回答の違いが明らかであった。それから、高齢者の徒歩利用が可能な最大距離は1.5kmであり、非高齢者はより長距離まで移動できるが、短距離で買い物に行くことを選好することが確認できた。そして食料品買い物環境における不便さを不便度として定義し、不便度とほかの要因との関係を明らかにした。高齢者のほうは移動時間および移動手段により感じる不便度が敏感であり、特に徒歩の場合は、15分以上になると不便度が急増することが分かった。