都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
Print ISSN : 0916-0647
ISSN-L : 0916-0647
健康増進に寄与するまちづくりのための健康関連QOLの調査および因果構造分析
張 峻屹小林 敏生
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2012 年 47 巻 3 号 p. 277-282

詳細
抄録

本研究ではまず、身体的健康、精神的健康と社会的健康からなる健康関連QOL指標群、健康関連QOLの影響要因である生活習慣、健康づくり活動や交通行動などを取り入れた、健康増進に寄与するまちづくりのための総合的な健康行動調査方法を提案した。2010年にウェブ調査を実施し、三大都市とその他の政令指定都市に住む住民から1,172サンプルを収集できた。次に、決定木分析手法と構造方程式モデルからなる2段階方法を用いて健康関連QOLに関わる因果関係を分析する方法を提案し、調査データを用いたモデルの推定結果からその有効性を確認した。2段階方法によるモデル分析の結果、三大都市とその他の政令指定都市における健康関連QOLへの影響、因果構造の違いを明らかにし、健康増進を図るために都市の違いにも着目する必要性を確認した。さらに、健康増進のために、生活習慣の改善と健康づくり活動が引き続き重要であるが、まちづくりの視点から、中心部居住を促進しつつ、中心部に役所、教育、病院や公園及びそれらへのアクセスをサポートする公共交通機関から形成されるコンパクトな都市構造(都市によって異なる)の実現が健康の増進に寄与することを定量的に示した。

著者関連情報
© 2012 公益社団法人 日本都市計画学会
前の記事 次の記事
feedback
Top