抄録
本研究では、東京23区で開催されている手づくり市の中で「あかぎマルシェ」「品川てづくり市」を対象に、出店している作り手と周辺地域の活動に着目し、地域において手づくり市を開催することの価値を明らかにする。結論として、個人主催の手づくり市に出店している作り手が周辺地域に広がる活動は、主に文化芸術施設での活動が多く、これらは主催者と文化芸術施設オーナー間の情報共有などのコミュニケーションや、オーナー側の自発的な行為など、その背景は多様であることが二つの対象市からわかった。これらの活動は、既存のまちづくり関連団体や行政では出来ないようなミクロレベルのものであった。以上から個人主催の手づくり市は周辺地域の既存のまちづくり活動を補完し新たなまちを形成する上で価値があると考えられる。