都市計画論文集
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江戸の主要防火政策に関する研究
明暦大火後から享保期までを対象として
森下 雄治山崎 正史大窪 健之
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2012 年 47 巻 3 号 p. 721-726

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抄録
本研究は幕府によって明暦の大火から享保期までに施行された、江戸の都市防火に関する政策の特質を明らかにすることを目的とする。江戸においては明暦3年の大火を契機に開府以来の都市矛盾を解決するため、幕府は様々な都市改造を進めた。江戸の都市防火に関しては、大火後より享保期にわたって施行され、その基盤は享保期に確立した。その主な政策として、(1)火除地の設営、(2)消防の組織化、(3)建築規制の三つの政策があげられる。江戸の都市防火の特色は、これら三つの政策が密接に連関しながら施行されたことである。本研究で、以下のことが明らかになった。武家地では濠などの水辺空間に、火除地・緑地などを近接させて延焼防止帯を形成し、近くに火消屋敷を配置し防火をより強化したことである。、町人地では川、火除地などで延焼防止帯を形成し、その防止帯で区画した街区内部を、建築規制による防火建築で固め、その街区を町火消しによって防火したことである。これらの施策の基盤は享保期に確立した。
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© 2012 公益社団法人 日本都市計画学会
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