都市計画論文集
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東京都市圏における鉄道通勤を対象とした居住地誘導による過剰通勤交通削減に関する研究
横田 裕也室町 泰徳
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2012 年 47 巻 3 号 p. 853-858

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抄録
本研究では、東京都市圏を対象に、1998年PT調査における鉄道通勤ODデータなどを利用して、2030年まで趨勢将来OD表と過剰通勤交通が最小となる最適将来OD表を推計した。さらに、最適将来OD表分布に近づくような誘導将来OD表を求める2段階最小化問題を定式化し、実際に誘導将来OD表を推計した。本研究の主な結論としては、まず、東京都市圏において趨勢通りに推移すると過剰通勤交通は年々わずかに増加し、通勤時間もわずかに増えるという結果となった。これに対して、通勤時間最小化が達成されれば、平均通勤時間は1998年では約49分から約35分へ、2030年では約50分から約36分へと大幅に削減できることが分かった。また、1998年より、最適将来OD表に近づくように、通勤時間の削減を考慮して通勤者の居住地誘導を行っていけば、2015年頃には過剰通勤交通も5%以下となり、概ね職住近接が達成されるという結果が得られた。居住地誘導の地域別特徴としては、全ての地域の東京区部へ通勤する通勤者は東京区部へ向かうように移動し、東京区部に居住する通勤者は近隣の周辺部に移動するという傾向が確認できた。
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© 2012 公益社団法人 日本都市計画学会
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