都市計画論文集
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1940-60 年代の静岡市中心部の再形成における戦前期都市計画との連続性・不連続性
都市計画の手法と建物再建の背景となった思想・制度に着目して
田中 傑
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2013 年 48 巻 1 号 p. 94-99

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抄録

本論文は、静岡市中心部で1940年と1945年に生じたふたつの大災害のあとの市街地形成の過程を、土地区画整理事業の施行と私的な再建活動の実態の解明を通じて描写している。1940年に開始された復興事業は、土地区画整理事業の手法上の原則を曲げながらも、防空都市の建設という国策に沿うとともに、長年にわたっていだかれていた「横のデパート」という夢を実現するように実施された。1945年の終戦とともに、新たな復興事業がかつて戦中期の復興において夢想された理想的な市街地空間を実現するために開始された。このように、不燃化・共同化など戦前期の静岡において求められた都市計画の方向性は、戦中から60年代にかけて、そのときどきの時代的背景のもとで連続・不連続を繰り返しながら継承されてきたと結論づけられる。

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© 2013 公益社団法人 日本都市計画学会
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