2013 年 48 巻 3 号 p. 1053-1058
本研究は兵庫県篠山市とたつの市を対象として、ヒアリング、住宅地図の分析、現地調査から、空地の利用状況、空地からみえる隣地建物の側面の特徴と通りからの見え方を明らかにし、歴史的町並み保存のための空地周辺の修景手法の考え方の枠組みを示すことを目的としている。空地は、建物が通りからセットバックしてできた空地の場合、空地の奥行距離が短く、通り景観に駐車車両が並びやすく、セットバック空地のまわりで街路景観への影響があることを指摘した。また空地の隣地建物の側面が1つの素材の場合で、特に平入町家の妻側の面は、街路景観からの可視性が高く、歴史的町並みの細やかなスケール感と合いにくいことも明らかにした。分析で得た知見をふまえ、空地の状態と空地の隣地建物の側面に応じた修景手法の枠組みを示し、結論としている。