抄録
伝統的な窯業により表象される景観は、文化的景観として認識されつつある。しかし、多くの窯業の産地では近代化を受容しつつ伝統を遵守してきた。我々は、文化的景観の表象から人間と自然との関係と歴史的変遷を味解しうるものと考えられる。そこで、伝統的な陶器の産地である小石原を対象に文化的景観の変容を明らかにすることを目的とする。文献調査、アンケート及びヒアリング調査により結論として以下が示された。1)作陶の一連の作業様相から表象される景観の有無や変容は窯元ごとに異なるが、そのほとんどが変容しながらも伝統的技法が残っていることが分かった。2)変容の結果、窯元ごとに多様な作陶の作業が存在するため、窯元を巡り目にすることによりその伝統に対する認識が深まる。3)陶芸の里における文化的景観の理解のために、伝統的な作業工程が維持されている成形の可視化等、来訪客と職人の関係を深める、窯元の活動への支援が必要となる。