抄録
近年、国内の観光地や都市部においてゲストハウスやホステル等と称する素泊まりを基本とした比較的低廉な宿泊施設型ゲストハウスの開業が相次いでいる。こうした施設の一部は、その場所を旅行者に限らず、住民や通勤者も含めた多様な属性の人びとが集い、交流できる場所として経営している。宿泊機能と交流機能を併せ持つゲストハウスは、観光まちづくりや地域における交流人口も含めたコミュニケーションの場のあり方を検討する上で示唆に富む。しかし、国内のゲストハウスに関する基礎的な知見の整理は進んでいない。そこで本稿では、国内におけるゲストハウスの経営と利用の実態について整理するために質問紙調査を実施した。その結果、国内におけるゲストハウスは沖縄県や京都府に集中して立地している点、空き家や商業ビルを改修・改築して営業しているものが多くみられる点、主な利用者は若年層である点などがゲストハウスの特徴として示された。