都市計画論文集
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福島県における市町村主体の除染の実態と課題
福島第一原子力発電所事故から2年半後の記録
川崎 興太
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2014 年 49 巻 2 号 p. 186-197

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抄録

本研究は、行政区域の全域が除染特別地域に指定されている7市町村を除く福島県内の52市町村を対象として、福島第一原子力発電所事故が発生してから約1年半が経過した平成24年9月末現在における市町村主体の除染の実態と課題を明らかにした前稿の続稿として、約2年半が経過した平成25年9月末現在における市町村主体の除染の実態と課題について、詳細かつ体系的に明らかにすることを目的とするものである。本研究を通じて、(1)既に除染が終了した市町村も見られるが、多くの市町村では学校等の公共施設の除染を終え、現在は住宅の除染を本格的に実施している状況にあること、(2)今なお半分の市町村では必要な面積・容量の仮置き場を確保できる見通しが立っていないこと、(3)多くの市町村は、中間貯蔵施設の早期決定、仮置き場の確保、森林の除染、除染技術・方法の見直し・改善、再除染などが除染を進める上での課題であると認識していること、(4)多くの市町村は国の除染に対する取り組みを不適切であると認識しており、少なからぬ市町村は福島県の除染に対する取り組みを不適切であると認識していること、(5)多くの市町村は、除染などによって0.23microSv/hになったとしても、空間線量率が原発事故前と同程度にならなければ住民は安全に安心して生活することができないと認識しており、また、除染は安全・安心な生活環境を回復させる上で効果があり、除染計画などに基づいて除染を実施すれば住民は安全に安心して生活することができるようになると認識していることなどを明らかにしている。

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© 2014 公益社団法人 日本都市計画学会
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