2014 年 49 巻 3 号 p. 429-434
本研究では、神戸市の既成市街地と郊外住宅団地を対象として、パーソントリップ調査データをもとに、ネスティッドロジットモデルを適用して、買い物交通における目的地・交通手段選択モデルを構築した。そして、選択モデルから得られるログサムを用いてアクセシビリティを算出し、年齢や自動車の利用可能性が両地域の買い物交通のアクセシビリティに及ぼす影響を明らかにした。この結果、良好な精度で選択モデルを構築することができ、既成市街地では郊外住宅団地に比べて小規模小売店舗の影響力が大きく、移動距離に対する抵抗感が大きいことが示された。算出したアクセシビリティを比較すると、高齢者よりも非高齢者の方がアクセシビリティは高く、また高齢者については、既成市街地の中心部においてアクセシビリティが最も高くなっていた。そして、世帯内の自動車が減少することによって高齢者・非高齢者ともに、既成市街地よりも郊外住宅団地でアクセシビリティが大幅に低下することが明らかとなった。