抄録
福島原子力発電所からの広域避難に関しては,避難先での問題や事故調査に焦点を絞った研究事例は多いものの,発災後に誰がどのような避難行動を行ったかについての調査・研究は現在の所,ほとんど存在しない.この問題意識を背景として,本研究では大規模社会調査によって得られた実際の避難トリップデータ(のべ45300サンプル)を分析することで,福島原子力発電所からの詳細な避難傾向を把握し,また避難行動パターンの類型化や広域避難行動モデルの提案などの検討を通じて,今後の広域避難計画に生かす.ここでは避難行動の概要を把握したのち,これらをいくつかの代表的な避難行動パターンに類型化し,最終的にランダム効用理論とグラビティモデルを理論的根拠とした広域避難行動モデルの提案を行った.この成果により,避難手段が変化した場合など,様々な状況下における避難者分布の変化などを検討することが可能となった.