2014 年 49 巻 3 号 p. 561-566
国民価値観の多様化により,従来の経済効率性中心の国土・都市政策への限界が指摘されて久しい.近年,多くの国際機関,国で「幸福論」の指標化に関する取り組みが盛んである.わが国でも民主党政権下の2008年に政府が専門委員会に幸福の指標化に関する諮問を行ったが,その後,国レベルでの具体の動きはみられない.一方,自治体レベルでは多くの幸福指標取組みの動きがある.しかし,国土・都市政策に係る学術レベルでの十分な議論や導入実績が十分でないため,現在,自治体が検討のものは共通概念が不足し,政策指標との汎用性に欠ける.以上を踏まえ,本論文は,国土・都市政策における「幸福論」の適用可能性に関する実証的な研究を行ったものであり,その適用可能性に関する基礎的な知見を明示することができた.