人口減少時代における都市の縮退計画の必要性を背景に、空間計画立案や住民移動の動機付けの基礎情報として、居住者に選択される地域とその要因を把握することが重要である。本稿では、東京圏1都3県の都市地域において、直近3回分の国勢調査小地域集計データをもとに町丁目ごとの人口増減パターンを導出し、各種住環境指標を複数の階級に分け、それらと人口増減パターンとの間に有意な関連性が見られるかをカイ二乗検定で検証する。さらに残差分析を通じて人口増加や減少に有意に影響する指標の範囲を導出する。さらに判別分析によって各指標の人口増加への影響度を算出した。これをもとに町丁目ごとに各指標が残差分析で算出した「人口増加に有意に影響する値」にある場合、「判別分析の係数の絶対値」を得点として合計することで、各指標の人口増加への影響度を考慮した得点を算出した。この得点の偏差値も人口増減と有意な関連性を示した。上記の分析から、人口減少に向けて市街地集約を図る際の候補地として、高齢化率が低く事業所と公園が立地する地域の中から、駅や病院などに近い地域を抽出し、共同住宅を中心に整備することが効果的である可能性を見出した。