抄録
近年,米国を中心とした世界各地でブラウンフォールドの問題が報告されている.ブラウンフィールドとは,「土壌汚染の存在,またはその懸念から,本来その土地が有する価値よりも著しく低い用途,または未利用となった土地」を指す.我が国においても,今後,地方部を中心に社会問題として顕在化する恐れが指摘されている.ブラウンフィールドの発生には,複数の要因が影響すると考えられるが,土壌汚染が原因で土地の有効な利活用が阻害されている事例の90%において,土壌汚染対策費が高額であることが主たる要因であると報告されている.その一方で,実際に汚染対策措置が行われる際,たとえ汚染が軽度であっても高額な費用を要する掘削除去が選択されるケースが多いことが問題視されており,この「掘削除去への偏重」が対策費用を高額化させ,ブラウンフィールド発生を助長しているという見方もある.本研究では,この点に着目し,土壌汚染地の取引と市場参加者による対策措置選択を考慮した土地市場モデルを構築し,ブラウンフィールドの発生機構を解明する.その上で,抑制政策評価の考え方について考察を行う.