都市計画論文集
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地方都市におけるDID縮小区域の発生状況とその特性に関する研究
浅野 純一郎原 なつみ
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2014 年 49 巻 3 号 p. 651-656

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抄録

本研究は、DIDを指標とし、2005~2010年間でDIDが縮小した区域(DID縮小区域)に着目することで、全国レベルにおける地方都市の都市縮小現象の一端を明らかにすると共に、典型事例を抽出し、DID縮小区域の実際の空き家発生状況や土地利用特性を明らかにすることを目的とする。国勢調査等の統計データ、該当都市へのアンケート調査、典型事例での現地調査等によって、(1)DIDのある対象地方都市中、58.8%でDID人口が、26.6%でDID面積が減少しており、その程度は線引き都市よりも人口規模が少ない都市の多い非線引き都市で深刻であること、(2)DID縮小区域の地理的特性は、小市街地除外型、郊外住宅地除外型、谷間集落縮小型、平場スプロール地縮小型、港湾拠点部縮小型、丘陵部・微地形地縮小型に分類できること、(3)DID縮小区域の典型地区では、すでに世帯数が減少し、空き家や更地化が顕在化していること、(4)平場スプロール地縮小型では空き家の居住環境が総じて低く、新規住民の流入は低い状況にあること、(5)自治体の対策としては、空き家・空き地の情報管理や空き家の撤去等、空き家対策が主であること等を明かにした。

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© 2014 公益社団法人 日本都市計画学会
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