抄録
人口減少や人口構成の変化、産業構造の転換などが継続的に続くことにより、空地・空き家化と開発が同時に発生し混在し、地域空間の利用密度が偏在する。また、地域の生活圏や活動圏が重層化するなかで、一体的に考えるべき空間的まとまりと行政区分がうまく合わない。加えて、エネルギーや環境問題など広域で調整すべき課題も多く発生してくることが想定される。こうした計画課題に対して、開発を調整し持続可能な都市への再編するための計画論が求められる。持続可能な都市へと空間を再編していくときに求められる都市と周辺との総合的な計画、都市圏での競争力を維持しつつ機能転換するときの立地調整など、広域レベルでの計画の必要性を視野におき、ドイツ・ノルトライン・ヴェストファーレン州ルール地域に着目し、地域共同体の計画主体としての歴史的変遷と現在の広域計画への取り組みを事例として、計画区域と計画主体のあり方について考察する。計画におけるガバナンスおよび計画主体から求められる地域計画を可能とする計画の考え方を検討した。