本研究では,福岡市を対象として,高齢者の居住地から生鮮食料品店までの道路距離によってフードデザート地域を定める.このとき,フードデザート地域と判断する距離に明確な基準が定められていないことから,基準距離の設定によってどの程度結果が変わるのかという感度分析も行う.そして,フードデザート問題をこれ以上悪化させないようにするために必要となる生鮮食料品店の最小店舗数ならびにその立地を,集合被覆問題に帰着させることで求める.さらに,フードデザート問題に着目した際の生鮮食料品店の評価方法を提案する.先行研究では,フードデザート問題の解決策を提案しているものが多いのに対し,本研究では現状よりも悪化させないことを念頭に置いていることが特徴である.本研究の成果は市政にとって役に立つであろう.