2014 年 49 巻 3 号 p. 999-1004
本研究では,共助機能を活かした都市・地域政策立案の第1段階として,地域のソーシャルネットワークを再現する方法論を提案した.具体的には,アンケート調査によって個人属性,世帯属性,および支援者数や支援者属性等の支援者情報を補足する.そして,複雑ネットワーク分析の1つであるコンフィグモデルを応用することによって,調査結果を逆解析し,現実社会のソーシャルネットワークを再現する分析方法を構築した.さらに,提案手法を用いて,人口規模が異なる5地域でのソーシャルネットワークを再現し,ネットワーク密度,ネットワーク推移性,ネットワーク相互性,ネットワーク中心性の4つのネットワーク指標を用いて,地域の人の繋がりを比較した.分析の結果,再現されるソーシャルネットワークがロバストであることから提案手法の有効性を示したとともに,地域別のソーシャルネットワークの特徴を定量的に明らかにした.