抄録
本研究は、福島第一原子力発電所事故が発生してから約2年半が経過した平成25年8月末現在における除染特別地域内の11市町村の除染に関する評価・見解を明らかにするとともに、除染特別地域の除染・復興に関する検討課題を提起することを目的とするものである。本研究を通じて、除染特別地域における除染の実施主体である国の除染方針や取り組みを不適切であると認識している市町村が多いこと、除染などによって空間線量率が0.23microSv/h未満になったとしても原発事故前と同程度にならなければ住民は帰還して安全に安心して生活することができないと認識している市町村が多いこと、特別地域内除染実施計画に基づいて除染を実施すれば住民は帰還して安全に安心して生活することができるようになると認識している市町村は皆無であることなどを明らかにしている。これらの結果を踏まえ、除染特別地域の除染・復興に関する検討課題として、除染を前提としない復興政策を確立すること、広域単位での除染・復興政策・体制を確立することを提起している。