2015 年 50 巻 3 号 p. 331-336
紙面やインタビュー型の交通調査への代替手段として,GPSやスマートフォン (スマホ)を利用した交通行動調査の研究や実務への応用が試みられている.これらの新たな交通調査は,都市圏レベルの人の動きだけでなく,回遊調査への応用も期待されている.しかし,新たな調査法の参加者の母集団代表性には注意が必要である.例えば,スマホ型調査の対象者はスマホ所有者に当然限定され,サンプルのランダム性は確保されるとは限らない.本研究は,この問題意識を背景として,調査参加者の属性に着目してインタビュー調査とスマホ型調査の比較を行うことを目的としている.熊本都心部回遊調査を,この2つの調査形式で実施しており,それらのサンプルの属性分布などを比較する.最後に,これら2つの調査統合データで滞在時間モデルを推定した例も提示する.