抄録
本研究は,世帯規模縮小に伴う建て方変化が民生家庭部門のエネルギー消費構造に及ぼす影響を明らかにするため,2035年における都道府県別世帯規模別の建て方別世帯数の将来推計を行った.世帯構成変化の将来ケースとして,次の3ケースを想定した.1:世帯規模別の建て方比率がトレンドで変化するケース.2:世帯規模別の建て方別比率が現況のまま変わらないケース.3:世帯規模を問わない世帯全体の建て方別比率が現況のまま変わらないケース.結果,戸建単身世帯は全国で2010年比+60%となるケースがあること,世帯規模に合わせた建て方への住み替え促進によって0.85%程度のエネルギー消費量の削減が見込まれることを明らかにした.今後,世帯規模別建て方別の省エネ・創エネ対策の効果や世帯規模に応じた居住スペースの限定など追加的施策の効果を把握することに活用したい.