都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
Print ISSN : 0916-0647
ISSN-L : 0916-0647
自治体のブラウンフィールド再生戦略の発展と連邦・州の公的支援が与えた影響
米国北東部三都市の比較分析
黒瀬 武史
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2015 年 50 巻 3 号 p. 912-919

詳細
抄録

米国では、土壌汚染の可能性がある工場跡地等をブラウンフィールド(BF)と呼び、その再生に連邦・州が多様な支援を提供している。一方で、BFを多数抱える自治体にとって、多数のBF再生に同時に取り組むことは困難であり、再生の優先順位を検討し、戦略的に事業を進めることが求められる。本研究は、衰退した工業都市が数多く存在する米国北東部の中規模都市(Bridgeport・Lowell・Buffalo)の過去20年間のBF再生戦略と再生事業の展開を比較し、戦略の変化と連邦・州の支援策の影響を分析した。その結果、再生戦略は概ね(1)市全体のBF情報把握(2)区画単位の優先順位検討(3)区画単位から地区単位の取組へ転換(4)優先地区の再生計画策定(5)全市の都市計画におけるBF再生の位置付け(6)優先地区の拡大 という段階を経ていることが明らかとなった。連邦と州の支援は、以下の二つに大別された。一つは、連邦のBF調査パイロットや州の計画支援であり、自治体の再生戦略の発展に寄与した。他方は、連邦や州の個別事業への経済的支援であり、再生戦略に位置付けられた優先区画や優先地区の事業実現に活用された。

著者関連情報
© 2015 公益社団法人 日本都市計画学会
前の記事 次の記事
feedback
Top