都市計画論文集
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津波常習地域における復興と平時の空間変容の関係についての研究
昭和三陸津波後に集団移転した集落の東日本大震災までの変容とその後の復興に着目して
萩原 拓也窪田 亜矢
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2017 年 52 巻 3 号 p. 1163-1170

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抄録

三陸地域を始めとする津波常習地域における長期的視点にたった地域づくりのためには、津波からの復興期に形成される空間の蓄積と、平時の空間変容を総合的に捉え、その関係性を把握する必要がある。本研究の目的は、昭和三陸津波後に集団移転を行った岩手県内の集落を対象に、昭和津波後の復興および平時の空間変容それぞれと、東日本大震災後に再建される空間の関係性を明らかにすることである。今次津波後の空間変容は、公的復興事業による居住地整備と、被災者が自主的に行う住宅新築の組み合わせと捉え、分析した。昭和津波後の集団移転地と今次津波後の空間変容との関係は、集落の持つ地形的特徴に規定されることが明らかとなった。また、平時の空間変容の傾向は、今次津波後の空間変容においても、継続されることが明らかとなった。このとき、平時のおける昭和移転地の集落内における位置づけの変化や広域インフラ整備などが、昭和移転地と今次津波後の復興地の関係に影響を与える。

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© 2017 公益社団法人 日本都市計画学会
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