2017 年 52 巻 3 号 p. 247-254
観光政策を考える上で,観光客の回遊行動を把握することは重要である.これまで,,観光客の回遊行動の把握は,アンケート形式による交通行動調査に基づく場合が多かった.しかし,アンケート調査は,時間とコストがかかること,サンプルに偏りが出ることなどが難点として挙げられる.他方,近年のスマートフォンの普及により,スマートフォンから発信されるプローブリクエストに着目した人々の交通行動分析の可能性が拡がりつつある.そこで,本研究では,観光客の行動に関する基本的な情報の一つである‘滞在時間’に関して,Wi-Fiパケットセンサーから得られたデータ分析を通じ,その特性を明らかにすることを目的とする.鉄道利用観光客の方が,自動車利用者より約46分長い時間初瀬地区に滞在していることや来訪時間によって滞在時間の特性が変わることなどを明らかにした.