本研究では、ミャンマーの最大都市ヤンゴンにおける公園成立の歴史的経緯について、政治体制が大きく変革した3期(植民期、軍事政権期、民政移管期)に時代区分した上で、主に為政者側の視点から調査・考察を行った。これまで最大都市ヤンゴンを含め、ミャンマーの都市において一連の公園成立史を取り扱った研究はないことから、本研究の独自性が示される。植民期はレクリエーション・景観形成を目的として公園が整備され、その後、1958年(前期軍事政権)、1988年(後期軍事政権)、2011年(民政移管)という3回の大きな政権変革の直後において、公園の整備・改修が集中的に行われたことが明らかとなった。明治維新後の公園制度に関する太政官布達という我が国の事例に見られるように、ヤンゴンにおいても、それぞれの政治体制の変革後に、為政者が、安価な費用で迅速に施工ができ、費用対効果からみて市民への高いアピール効果が期待できる公園整備を積極的に進めてきたことが分かった。ただし、それぞれの時代背景の中で、為政者が公園整備に込めた意図の違いもうかがえた。