2017 年 52 巻 3 号 p. 514-520
本研究では、東京大都市圏郊外を対象に、築年数・床面積等の建物特性、都心からの距離帯・最寄り駅との位置関係等の立地条件と、中古住宅市場における需給バランスを表す指標である価格・市場滞留期間との関係を分析した。全体として、人口・世帯数の減少地区の特徴を満たす場合には、中古戸建住宅の購入需要も低下していることが明らかになった。ただし、都心からの距離帯により傾向が異なる場合もあり、近郊(都心から概ね30km圏内)では、築年数が大きく高齢化率の高い地区に立地する中古住宅にも一定の需要が存在する。一方、遠郊(都心から概ね40km以遠)では、戸建持ち家地区等に立地する中古住宅への需要が縮小し特に市場滞留期間が長くなる傾向にあり、中には、価格を下げることで早く売却する戦略もみられる。