2017 年 52 巻 3 号 p. 582-587
持続可能なモビリティと観光地域づくりを目的に広域ネットワーク活動を継続する組織'Alpine Pearls'(以下AP)の約10年間の組織活動を経年的に把握・分析し、組織活動が発展的に展開される要因を探った。その結果、APは補助制度を契機に設立されて以降、目的や戦略を組織の発展段階に応じて進展させるとともに、環境や社会情勢の変化に応じて活動内容を変化させてきたことがわかった。また財源を安定的に確保するために、加盟自治体数を維持・増加する必要があり、その点からも組織として明確な目的と戦略、そして活動による成果をよりわかりやすく共有することが求められている。APの10年間の組織活動の分析から得られる示唆は、持続的で柔軟な活動と、取り組みの実績や成果をステークホルダーと共有することである。そのためには、組織が内外に双方に積極的にコミュニケーションをはかるしくみを構築していくことが重要である。