都市計画論文集
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洪水常襲地域に見られる災害文化としての言い伝え・災害伝承に関する調査研究
飯塚 智哉畔柳 昭雄菅原 遼
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2018 年 53 巻 2 号 p. 108-115

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抄録

近年、我が国では想定外と揶揄される洪水被害が全国各地で頻発しており、国においてその抜本的な対策が講じられている。しかし、治水整備や文明の発達によって行政と住民の双方で危機意識の希薄化が進行しており、被害拡大に起因していることが指摘されている。その一方で、今日、言い伝え・災害伝承は今後の大規模災害に対して、効果を発揮し得る対策として再認識されつつあり、蓄積や検討の必要性を有すると考える。以上から、本研究では、古来からの洪水常襲地域に根付く言い伝え・災害伝承に着目し、自治体史や行政資料から地域特性・構成要素を把握し、その特徴を捉えた。その結果、(1)全国の洪水常襲地域では洪水発生前の言い伝え・災害伝承が多く語られ、日頃の準備に重点が置かれていた。(2)埼玉県では、言い伝え・災害伝承と地域特性に関連性がみられ、着目物体の変化を捉えることで言い伝え・災害伝承を語っていたことが明らかになった。

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© 2018 公益社団法人 日本都市計画学会
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