2018 年 53 巻 3 号 p. 1259-1266
ロケツーリズムは、新たな資源創出と観光振興を可能にする観光形態であるが、効果が一過性であることが課題となっている。本研究では、過去のロケツーリズムの事例について、観光客数の変動をもとに分類を行った。結果、ロケツーリズムによる観光客数の増加と維持のためには、継続的なロケ誘致と受入環境の整備(ロケ地マップ等)が必要であることを明らかにした。また、千葉県館山市と南房総市の比較を通じて、ロケ地としての「使い易さ」や「コネクション」が次のロケ誘致に繋がっていることと、フィルムコミッションが担う役割の重要さを示した。しかしながら、「使い易さ」を追求するあまり、撮影環境を整えることばかりが優先され、フィルムコミッションの本来の役割であるはずの地域のプロモーションが後回しになる実態を明らかにした。