2018 年 53 巻 3 号 p. 1499-1506
東京都市圏,地方部いずれにおいても民間企業や地方自治体主導の開発プロジェクトが近年増加している.そういった背景から,開発地域選定ならびに開発計画策定の際に,開発物件の賃料を推定し,居住地域の特徴を多角的に捉える為のシステムが必要とされていると考えられる.賃料推定ならびに賃料に影響を与える要因の分析の為の手法として,本研究ではDeep Neural Network,ヘドニックアプローチとRandom Forest Regressionの3つを用いた.そして,この3手法の比較を行うことで各々の優位点や限界を明らかにした.その結果,特にDeep Neural Networkは外れ値に大きな影響を受ける可能性があることからデータクリーニングを行う必要があることが示唆された.また,賃料推定のために構築したモデルを応用し,緯度・経度を説明変数に加えることで地域のポテンシャルマップが作成可能であること,デフレーターや物件登録年度を説明変数に加えることでポテンシャルマップの時系列変化や経済動向のポテンシャルマップへの影響を表すことができるということが示された.