抄録
延焼リスクの評価は住環境の安全性を評価する際に極めて重要である.延焼リスクを評価するためには,建物壁面間の距離の分布を把握することが必要である.ところが,市街地の構成は複雑であるため,建物壁面間の距離の分布を把握することは難しい.本稿では,多様な規模と形状をもつ敷地を正方形に等積変形することで,建物棟数密度と建物壁面間の距離分布の関係を理論的に考察した.また,建物壁面間の距離分布と延焼確率の関係を理論的に考察し,建物棟数密度の減少効果を延焼確率分布(延焼確率の確率密度関数)の変化の観点から評価した.多様な規模と形状をもつ敷地を正方形に等積変形することが建物壁面間の距離の算出に及ぼす影響を実証的に評価し,理論モデルを実市街地へ適用する際の留意点を明示した.