都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
Print ISSN : 0916-0647
ISSN-L : 0916-0647
生産緑地転用および農業経営多角化の実態からみた都市農地保全に関する研究
東京都練馬区を対象として
佐竹 春香斎尾 直子
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2018 年 53 巻 3 号 p. 522-528

詳細
抄録

都市農地は、都市開発が激しく展開されたバブル経済期には不要なものと見なされていたが、2000年代には都市住民が農活動に積極的な参加をみせるなど、都市農地に対する評価は転換した。一方で都市計画上保全するものとして位置付けられた生産緑地は減少し続け、さらに地区指定更新の2022年を機に大量消失してしまうことが懸念されている。本研究では、東京都練馬区を対象に生産緑地の転用に関する議論の変遷、地図分析による地区指定以降の生産緑地転用後の土地利用経年変化、ヒアリング調査と現地調査による農業の経営形態の変化と空間変容の考察から、生産緑地転用の実態と都市農地保全に向けた課題を明らかにすることを目的としている。2章では、2022年を目前に生産緑地転用をめぐる各種議論について新聞・雑誌記事調査を行ない、生産緑地転用に対する視点の変化を明らかにした。3章では、1992年の地区指定から2016年までの生産緑地転用の経年変化について地図分析を行ない、転用後の土地利用実態の課題を考察した。4章では、営農を継続している農家を対象にヒアリング調査と現地調査を行ない、農業経営多角化の実態から農地保全の課題を考察した。

著者関連情報
© 2018 公益社団法人 日本都市計画学会
前の記事 次の記事
feedback
Top