抄録
本稿では、2000~2010年の国勢調査に基づく人口の経年変化および同時期の様々な空間データを用いて算出された住環境得点が、2010年から2015年にかけての人口増加を説明できるかを検証する。対象地は東京都市圏1都3県とし、住環境得点は年齢階層別および都心からの距離別に計4分類で算出される。住環境得点と実際の人口変化を地図化するとともに、住環境得点と実際の人口変化が整合したかどうかの組み合わせでクロス集計表を作成した。住環境得点と人口変化が整合しているのは5~6割であり、さらなる改善が求められる。本稿では、住環境得点と人口変化の整合の有無の組み合わせごとに各住環境指標の平均値を算出し、その差異に有意差が見られるかを検証した。さらに、新しい指標として住宅所有形態に関するものを用いることで、住環境得点の精度が向上できる可能性があることを見出した。