2018 年 53 巻 3 号 p. 632-639
都市地域の分析を行うに当たって,私たちは様々な種類のボロノイ図を用いることができる.大規模な都市の交通現象や施設配置の有り様を分析するに当たって,放射環状距離による定式化が相応しい場合が多いことは,都市研究者の間でよく知られている.しかしながら,放射環状距離のボロノイ図の構成法に関する先行研究は少ない.それは,母点間の相対的な位置関係によってボロノイ境界線の関数形が実に多岐にわたるため,アルゴリズムの構成が非常なる複雑さを有していることに起因するものと思われる.この論文では放射環状距離のボロノイ図を描画するためのアルゴリズムを詳述し,具体的な計算を行った成果を述べるものである.最初にボロノイ境界線の解析的導出法を述べるが,これはかなり込み入った作業を要する.次にボロノイ図を逐次添加法によって描画する方法を述べる.