都市計画論文集
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災害遺構の価値構成に関する研究
雲仙普賢岳の噴火災害遺構「旧大野木場小学校被災校舎」の事例調査
石原 凌河
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2018 年 53 巻 3 号 p. 823-829

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抄録

本稿では、雲仙普賢岳噴火災害の遺構を事例に、災害遺構が有する多様な価値を定量的に明らかにし、地域住民が認識する災害遺構の価値構成を把握することを目的とした。その結果、以下の知見が得られた。(1)災害遺構の価値として、「歴史的価値」「教育的価値」「追悼的価値」「まちづくり上の価値」「経済的価値」の5つに分類することができた。(2)災害や遺構への関わりがある人の方が「歴史的価値」「教育的価値」の重みの割合が相対的に高く、災害遺構への関わりがない人ほど「追悼的価値」「まちづくり的価値」「経済的価値」の重みの割合が相対的に高いことが示唆された。(3)災害や遺構への関わりがある人の方が、災害遺構の保存に対する便益額が相対的に高いことが明らかとなった。

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© 2018 公益社団法人 日本都市計画学会
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