都市計画論文集
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バンコク郊外駅周辺における歩行路ネットワークの構成と形成過程に関する研究
Airport Rail Link駅周辺における歩行路の整備主体に着目して
伊藤 智洋窪田 亜矢
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 53 巻 3 号 p. 830-837

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抄録

バンコクの都市鉄道駅周辺では十分な都市開発が進められていないことが指摘されている。本研究は既存の自動車依存型都市構造から取り残されたと考えられる国鉄線路上に建設されたAirport Rail Linkの郊外4駅を対象に、歩行路ネットワークの空間構成及び形成過程を特に整備主体に着目して明らかにし、今後の駅周辺計画に対する知見を見出すことを目的とするものである。現行の施策では点的開発は促進されるものの面的計画の適用には至らない中で、駅周辺での現状把握から、行政やディベロッパーだけでなく地元住民組織や個人も歩行路ネットワークの向上に寄与していることが明らかとなった。また形成過程の解明を通じ、交通手段の変化に合わせ、各整備主体が既存の空間構造を効果的に活用しながら、互いに役割を補完するように歩行路ネットワークが形成されてきたことを示した。これらのことから、既存の歩行路ネットワークを詳細に把握・活用し、地域住民組織による空間介入をも積極的に取り入れることが、バンコク郊外における駅周辺計画の一つの選択肢として有効である可能性を提示した。

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© 2018 公益社団法人 日本都市計画学会
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