2018 年 53 巻 3 号 p. 927-934
豪雪が発生すると市民の生活に影響が生じる.しかし,インフラや施設の復旧状況,宿泊施設の予約の回復状況などは比較的容易に把握できるのに対して,これまでは市民の生活への影響を直接的かつ正確に把握することは困難であった.しかし近年では,携帯電話の位置情報データが広く活用できるようになり,これらを用いて影響を明らかにすることが可能になっている.これらのデータには人々の一部の属性も付されていることから,場所による影響の差異のみならず,属性の違いによるそれもとらえることができる.そこで本研究では,時系列データから特徴的な部分を選び出す異常検知の手法をベースに,様々な人々への影響を実証的に評価する.その際,これらの手法は変化の検知を目的としていることから,異常の程度や様相という側面から影響を定量化しうる指標を作成する.その上で,平成29年2月に鳥取県で発生した豪雪を対象とし,手法の有用性を検証する.