本研究は都市利便増進協定を活用している事例に着目してその代表事例を抽出し、公共空間のマネジメント状況の実態を整理し、行政と民間の公共空間マネジメントに対する認識の違いを整理することによって、都市利便増進協定を活用した公民連携による公共空間マネジメントの可能性と課題を明らかにすることを目的とした。研究の結果、採算性の高い施設を都市利便増進施設とすれば収益が得られる事業として成立する可能性が明らかとなった。また協定制度の趣旨を拡大解釈して適用したり、自治体の条例に基づく制度のなかで活用するなど、自治体や都市再生推進法人がやりたいことに応じて協定を柔軟に活用できる可能性が明らかとなった。一方で都市利便増進協定は民民協定や法人が行う事業と合わせることで成り立っているため、公共空間マネジメントの継続性が一つ目の課題となる。また行政と民間とでは、収益の使い道や事業を行うことで地域の価値を向上させること自体の評価に関する認識が異なることがわかった。この認識の不一致の要因となる、公共性の認識に対する隔たりが二つ目の課題である。