2019 年 54 巻 3 号 p. 516-523
本研究は、立地適正化計画と都市計画の二層的な関係に注目し、既存都市計画上における居住・都市機能誘導区域の設定動向と独自区域の活用実態を明らかにすることを目的とする。調査結果から、線引き・非線引き都市によって誘導区域の設定可能エリアが異なるものの、いずれも用途地域を基本に誘導区域の設定を行っていること、居住誘導区域の設定では地域の特性(人口・公共交通・都市機能など)を踏まえた集約と、公共交通沿線を中心とした戦略的な集約が確認できた。また、都市機能誘導区域の設定には、誘導施設の設定範囲(高次機能・生活サービス機能)によって区域の範囲又は区域数が限定されることが確認できた。さらに、独自区域の設定では、居住誘導区域外の市街化区域内(用途地域内)の居住地を位置付けるものと、都市機能誘導区域に設定しない又はできない都市MP上の既存拠点を位置付けるものの傾向を明らかにした。