都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
Print ISSN : 0916-0647
ISSN-L : 0916-0647
城郭地区内に形成された官庁街と境界の変遷に関する研究
松浦 健治郎津村 大揮
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2019 年 54 巻 3 号 p. 623-629

詳細
抄録

本研究では、近世城下町を基盤とする県庁所在都市のうち、昭和初期に城郭地区内に官庁街を形成した17都市を対象として、城郭地区内の境界と官庁街の変遷の関係性を明らかにすることを目的とする。具体的には、1)城郭地区内の境界の保存の程度を境界の種類や位置との関係から明らかにし、2)城郭地区内の官公庁施設及び市民利用施設の立地の変遷及びそれらと境界との関連性を明らかにすることを目的とする。 明らかになったのは、第1に、境界保存率について境界の位置に着目すると、内側から1・2番目の境界は保存され、3番目の境界は保存されない傾向にあり、境界の断面形態では台地型が、境界の構成要素では自然的境界が保存される傾向にあること、第2に、官公庁施設・市民利用施設の総数は、昭和40年代までは増加傾向にあったが、平成30年では減少しており、それらは階層3に多く立地していること、第3に、境界Cの境界保存率が低い8都市では周辺市街地と空間的連続性のある官庁街・シビックゾーンが階層3に形成され、境界Cの境界保存率が高い3都市では周辺市街地と明確な境界を有する官庁街・シビックゾーンが階層3に形成されていること、である。

著者関連情報
© 日本都市計画学会
前の記事 次の記事
feedback
Top