都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
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軽度認知障害ドライバーの運転挙動と意識に関する基礎的研究
鈴木 美緒
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 55 巻 1 号 p. 11-18

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抄録

高齢ドライバーによる事故の甚大化を受け,2017 年の道路交通法改正により,高齢ドライバーの免許更新の際に認知機能検査を実施する仕組みを導入した.そこで本研究は,65 歳以上の認知症,軽度認知障害(MCI),健常の高齢ドライバーを教習所内で走行させ,特にMCI の状態で発現する危険挙動を観測する他,運転挙動と認知機能,さらには免許返納を含む自動車運転への意識の関連性を調査した.その結果,MCI あるいは認知症の疑いのある高齢ドライバー独特の危険挙動はウィンカー操作や安全確認で発現しやすいが,一方で,健常ドライバーにも危険挙動が見られることがわかった.また,アルツハイマー型認知症の特徴である単語記憶の衰えが,運転技能よりも他者とのコミュニケーションに関するルール遵守の欠落と関連する可能性があること,運転を続けたい意向は認知機能そのものや運転技能より自身の性格やライフスタイルと関連していることがわかった.

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