本研究では,温泉観光地における民泊施設の立地の変遷と傾向を把握した。さらに,周辺住民の民泊施設への評価の実態を把握することで,民泊施設立地による付加的な効果の可能性について考察を行った。1.民泊施設立地の傾向と制御対象エリア:2019年から,路線価格中程度の商業地域および隣接する住居系地域で急激に立地が拡散していた。特に,駅に近い商業系用途地域に立地した民泊施設は,社会情勢の影響を受け,廃業や休業をしやすいことがわかった。これらの特徴を持つエリアは,民泊施設立地の規制対象として検討が必要なエリアであると考えられる。2.住居系地域に立地する民泊施設の留意点と可能性:民泊施設と住民の日常的な接点の多さと認知が,不安の軽減につながること,半数以上の住民が民泊施設利用者の地域コミュニティへの参加などの効果を期待していることもわかった。