都市計画論文集
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居住地域履歴を用いた地域環境が婚姻と出生に与える影響に関する分析
久司 駿三室町 泰徳
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 56 巻 3 号 p. 1176-1183

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抄録

本研究では,婚姻や出生に関わる個人レベルのweb調査を実施してミクロデータを取得し,過去の居住地域履歴を得て,これを当該地域環境の特徴を表すデータと関係付けて分析することで,地域環境の特徴が個人の婚姻や出生に与える影響を検討した.婚姻,第一子出生,第二子出生に関するハザードモデルを用いた分析結果からは,年齢,世帯人数はいずれのイベントに対しても,初婚年齢は第一子出生に対して,対象者(妻)の労働時間,住宅種類としての賃貸,部屋数,鉄道利用は婚姻と第二子出生に対して,世帯収入は第二子出生に対して有意な影響を与えていることが明らかとなった.これらの影響は,部屋数が第二子出生に与える負の影響を除き,影響の正負も含めて概ね既往の研究結果と一致していると考えられる.また,居住地域環境指標に関しては,婚姻のイベント時に関して可住地人口密度が1%となっており,負の影響が示された.さらに,第二子出生において保育施設密度が10%有意であるが正の値を示し,保育環境が第二子出生行動に影響を与えることが示唆された.

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© (c) 日本都市計画学会
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